『木をそのまま使いたい』
と指物職人川口さんは言う。
一般的な塗装は石油から作られており、
食器として使うには少し不安が残る。
しかし、漆は植物から作られる天然樹脂塗料である。
そのため、口に入れる物も安心して入れることが可能だ。
「天然素材を使い、木そのものを活かす作品を作る」
これが川口さんが大切にしていることである。
『なんでも作れるようになりたい』
指物師になって、約30年の川口さん。
小さい頃から”ものづくり”が好きだった。
将来の夢も”ものづくり”だったと言う。
学生時代には、自分で3mほどのヨットや4mほどのカヌーを作ったこともあるそう。
大人になるとサラリーマンとなるが、
再び”ものづくり”の道に戻り、指物師となった。
川口さんの息子さんも現在は指物師となっている。
これは小さい頃になんでも作ってくれた川口さんの影響である。
お父さんのように「なんでも作れるようになりたい」とこの道を目指した。
『拭き漆塗りという技法』
拭き漆とは、”漆を塗り余分な漆を布で拭いて”を繰り返す技法である。
通常7・8回、最低でも6回は”塗って拭いて”を繰り返す。
漆が乾かないと次の漆が塗れないため、
1日1回しか塗れず完成までに何日もかかる。
ではなぜ拭き漆の仕上げにするのか?
それは、木本来の味や光沢を出すためである。
層を重ねることで、光が乱反射し、木がそのものが見えるようになる。
『代々伝えていける家具を作りたい』
これが川口さんの信念。
木そのものである無垢で作ったものは、
壊れたとしても修理することができ、漆も塗り直すことができる。
したがって、何年も使ってもらうことが可能である。
そのために、無垢の木材を用い
拭き漆やノミ掘りなどの技術で時間や手間をかけて一つ一つ作るのである。
作品例